日本政府ついにディープシークDeepSeek規制を本格化か?各国は安全保障上の懸念を理由に利用禁止措置を検討している。果たして私たちはディープシークと情報セキュリティに対してどのように向き合う必要があるのだろうか?

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日本政府が「ディープシーク」AI利用に注意喚起

日本政府は、中国のAI企業「ディープシーク(DeepSeek)」が開発した生成AIを利用した際の情報セキュリティリスクを十分認識する必要があるとして、各省庁に対し利用の是非を慎重に判断するよう注意喚起した。

政府は内閣官房の「内閣サイバーセキュリティセンター」やデジタル庁に助言を求めるよう求める文書が発出された。なお、日本政府は注意喚起に留めており、ネットワークを遮断するなどの措置を講じていない。

政府の個人情報保護委員会は、ディープシークAIが中国の法令に基づいてデータを取り扱っている可能性を指摘し、個人情報の保護に関する留意が必要だとの見解を示している。林芳正官房長官は記者会見で、「関係省庁や専門機関が連携し、国際的な枠組みを活用しながら情報収集を進める」と述べた。

韓国をはじめとする各国の対応

韓国政府もディープシークのAIに対し、政府や警察機関での利用を禁止し、業務用コンピューターとの接続を遮断する措置を取った。同国のデータ監視機関が同社にAI管理や運営の方法などの情報開示を求めたが、ディープシーク側はこれに応じなかった。

韓国国防省は「特に軍関連のインターネット接続端末に対して遮断措置を実施した」と発表した。

また、フランスやイタリアなどの欧州諸国もディープシークに対し、データの取り扱いに関する情報開示を求めたが、同社からの返答が得られなかったため、利用制限を検討している。イタリアは1月30日にディープシークのアプリをブロックし、データ保護上の懸念を理由に国民の個人情報の処理を停止するよう命じた。

各国の迅速な動きに対して、日本政府が「注意喚起」の実を示したことには疑問を感じざるを得ないだろう。

ディープシークの技術とその影響

ディープシークは、2024年1月に最新AIモデル「DeepSeek」をリリースした。このモデルは、米オープンAIの「GPT-4」と同等の性能を持ちながら、開発コストを大幅に抑えたことが注目された。特に数学やプログラミングの分野で高い評価を得ている。

ディープシークの急成長は、AI業界に大きな影響を与えた。アメリカの半導体大手エヌビディアの時価総額は、ディープシークの登場により数十億ドルが吹き飛び、ナスダック市場でも一部のハイテク株の下落が続いた。

市場は一時的に動揺したが、それでも落ち着きを取り戻しつつある。

ドナルド・トランプ大統領は、「米国企業に対する警鐘」としてこの事態を評価している。

ディープシークAIは、中国国内で実施されている厳格な情報統制や検閲基準に従うよう設計されている。例えば、1989年の天安門事件について質問すると、一旦は事件の詳細を説明しようとするが、直後に回答が削除され、「対応できない質問である」と表示されるのだ。

また、日本の領土問題においても中国の目線で説明するなど情報の質や公平性にも注目が集まっている。

このような挙動は、香港の2019年民主化デモなど、中国政府にとって敏感な話題についても確認されている。

こうした制限は、世界の情報環境における主導権争いの一環と見られ、専門家の間ではディープシークがAIを通じて中国政府の価値観を反映する可能性が指摘されている。

アメリカニュースガードの調査によると、ディープシークの旧モデル「V3」は、ニュースや情報トピックの提供において正確性に欠けると評価され、同種のサービスの中で低評価となった。

安全保障上の懸念

ディープシークのデータ管理についても懸念が広がっている。

同社のプライバシーポリシーでは、収集した個人情報が「中国国内のセキュアなサーバー」に保存されることが明記されており、これは米国や欧州のデータ保護基準とは異なる。特に「キーボード入力のパターンやリズム」など、個人を特定可能なデータを収集している点が問題視されている。

専門家によれば中国政府はディープシークを通じて各国の利用者のデータを収集し、効果的なプロパガンダに利用するのではないか、と軍事利用などへの警戒が強まっている。

ホワイトハウスは1月28日、ディープシークが国家安全保障に及ぼす影響について調査を開始した。米政府は、ディープシークの情報収集が中国共産党に悪用される可能性を懸念しており、過去に米国で問題となったTikTokの情報流出問題と類似する状況と見ている。

今後の展望

ディープシークの台頭は、中国がAI分野で独立した技術基盤を確立しようとする動きの一環と考えられる。同社の成功は、中国の若手起業家が主導する新たなイノベーションの波として称賛される一方、技術の国際的な競争や国家安全保障の観点からは厳しい監視の対象となっている。

日本を含む各国は、ディープシークの技術発展がもたらす影響を注視しながら、データ保護や情報管理の面で適切な対応を求めていく必要がある。ディープシークを利用するにしても、情報セキュリティに対する考え方は忘れてはならないだろう。

とりわけ近年はサイバーセキュリティに対する関心が高まりを見せている。加えて、中国のみならずアメリカや各国が開発するオープンAIに対して批判的な人々もいる。

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この記事を書いた人

ほのぼの過ごしてるフリーライター。物語エッセイ、小説、時事記事などを書いてます。元リスク学研究員であり、現在情報コンサルにてインターネット・危機管理部門を担当。古書ECのプロジェクトを推進中。たまに俳句。積書が多く、横溝正史・京極夏彦が大好物。

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